DIARY, INFORMATION

工房 (新しい工房開設のお知らせ)

2014-07-28
「工房とアトリエ、どう違うのですか?」今月から私のところへ作業を手伝いに来ているT君が聞くので「どう感じる?」と返したら「自分は同じだと感じる」と。アトリエ(atelier)はフランス語なので少し違った空気感の空間を想わすところが気に入って私は使い始めたが、「工房」がその訳であっていいと思う。英語だとスタジオ(studio)となってWikipediaでは「芸術家などの作業場」と意味が出ている。芸術家である自覚は全くないものの、KIKAの作業場は木工工場(こうじょう)または家具工場(こうじょう)では無く、やはり工房(アトリエ)と言っていい内容の仕事を続けていたいと思っている。さて、今回の写真は2003年に東京近代美術館工芸館で行われた「現代の木工家具」展の図録の表紙だが、この展覧会は独立した工房を持って間もない時期に観た私にとっては大変印象深いものだった。格式ある美術館の中で諸先輩方がどのような仕事をして来たのかを一堂に観る事が出来て、先の工房運営の指針が持てるきっかけになった様に記憶している。この図録の中にあるキュレーター・諸山正則さんの文章を一部抜粋させて頂く、『家具を専門として選択した木工家らは、1970-80年代頃から次々と自らの工房をかまえ、独自の自由な創作を表明して個性的な活動を繰り広げてきた。それは単なる注文に随従した制作ではなく、伝統木工を基調とする制作や造形上の創造性やデザイン性を高めた制作において、明快な家具としてのメッセージを示しつつ固有のアイデンティティとオリジナリティを獲得している。すなわち、そうした彼らは、早川謙之輔を先駆として、現代に家具という造形表現の分野を開拓し、将来にその造形の広がる可能性を大いに見出してきた。』それ以前の事も書かれている文章の一部でしかないが、この文章を読むと我々が仕事をしている分野もしっかりとした道が既に敷かれていて、更にこの先を開拓しながら進んで行くのは我々、また次の、次の次の若い世代なのだと感じた。   そして唐突なようですが、タイトルに( )付きで書いたのは奈良県の下市町に10月からスタートする木工工房の事。兵庫県三木市の徳永家具工房と奈良県、下市町が連携してその下市町に新しい工房を開設します。三木市で工房を運営する徳永順男氏は’03年の工芸館へ出展された中の一人ですが、ここ数年交流をさせて頂き、話をする中で「木工工房」のあり方を変えていこう(進化させよう)というところで共感するところが多々あります。そこでその奈良工房の企画運営にアトリエKIKAの北島も参加し携わります。材木の事、刃物の事、作る物のデザインの事、大切なテーマは数多くありますが、奈良工房は複数人数の職人が高い技術を持って制作に携わる事を目指す事が一つ大きな特徴になるはずです。個の力と組織力(サッカーワールドカップでは散々その必要性を見せつけられました、余談です)、が上手く組み合わされば良い『工房』の形が一つ見え始めるはずです。この工房の説明は不十分ですが追ってテーマ事に記事を書きたいと考えます。   大切なお知らせとして、その工房での研修生第一期生を8月から募集します。アトリエKIKAからも順次告知をしますが、当面詳しい内容については徳永家具工房のfacebookページをご覧下さい。