DIARY

柳田國男記念館

2012-02-28
柳田國男の机を見る事を目的に兵庫県神崎郡福崎町の記念館を訪ねてみました。この机は柳田が大正10年頃から昭和37年にかけて成城の書斎で愛用していたもので民俗学の数々の名著はこの机で執筆されたと言われています。写真で見ていた印象よりも実寸法は小さく天板部で1200×700程のコンパクトでありながらしかし凛とした佇まいがある立派な机です。 この机にとても良く似たものがあるので是非修理(修復)をして使いたいと、以前からのお客様から連絡がありました。こちらは南あわじ市の某医院の院長が使っていたものでおそらく昭和20代からかな・・との事ですがいつどこで作られたか等は聞き伝わっていないようです。材質や細部の工作、また全体の大きさはに違いはありますが両袖と中央の引出し、天板上の棚、蛇腹式のシャッター等はほぼ相似形の構成になっています。推測では大阪から運んできた可能性もあるとの事でしたのでこちらは関西圏の職人の手に依るものでしょう。片や柳田の机は東京または関東圏の職人に特注して作ったものでしょう。(記念館で尋ねてみましたが机についての詳しい資料や記録は特に無いようでした。)特注の家具とは言え何処でどんな職人が作ったかという事は半世紀以上も経つと案外わからなくなってしまうものです。こんな事も、特に目立って注目される事無く日々生活をし生涯を終えていく八割方の人々の営みに注目し掘り下げた柳田國男の学問、フォークロア(民俗学)と重ねてみると面白いと感じました。そして修理は引き受けましたので少なくとも50年後の職人に繋ぎたいと思うところです。