ファンタジーとリアルと DP- ⑦

8月に入り工程は現実味を増す、仲間の協力も得て原寸模型を実際の空間に置いてみた、天井高8mのホールではどう見えるか、どれくらいの存在感を感じるか、現実的な検討ができた。並行して机上の作業も必要になるが、屋内外の現場での材料集めも最後まで粘ってみる。淡路島の木を集めて作品にしてみようとクライアントと話したこともリアリティーを持ち始める、様々な理由でその役目を終えた木々が思いのほか近い土地から集まった。天神さんや八幡さんでやむなく伐られたものは年輪の数が桁違いで立派、洲本城跡から支障木として来たものも風格あり、里山で育ったものもまた味わい深く良し、それぞれの木に力がある。その歴史に空想を膨らますのはその木に触れる者の特権、ファンタジーを積み上げエネルギーを放つリアルなものへ。







格闘・・DP- ⑥

製材所の製材機に載せにくい長さの無い木はやはりこのWood-Mizer / 簡易製材機で材にする。丸太の径が大きくなるとそれなりに大変だ。今回も3人体制で丸太と格闘、または大きな木と戯れたとも言える。連日の猛暑と重さで体力は消耗するが皆から幸せそうな笑みも溢れる。
一人ではどうにも動かない木(自然)の重さ、大きさを感じる事は、制作工程の中で大切で必要な時間ではないだろうか。










これらは薪用として引き取って頂く。/ 淡路里山を未来につなぐ会 の辻さん、よろしくお願いします。

集材 DP- ⑤

ここは淡路島中心部にある洲本城跡の武者溜(むしゃだまり)、主に石垣保全の為に伐採された木が山積みされている。1600年代から残ると言われている石垣を守るための伐採には理解をするが、これらの伐採木がただ朽ちていくだけの状況は如何に・・、以前から洲本市に掛け合っていた要望が、今月「伐採木の利活用者募集」というかたちになり、早速応募し集材を行う。
中でもスダジイ(椎の木)の大木は沼島やここ三熊山に群生地があり淡路島の象徴的な樹木の一つであると私は思う。朽ち初めてはいるものの、横たわっていた丸太の一部でも作品に取り込んでおきたいと思った。
スダジイの大木
/ 他にクス、製材した時の香りからヤブニッケイ、ホルト、など



何処そこに欲しい丸太があるのでと集材を依頼すると快く引き受けてくれる中田工務店の中田さん / 感謝

前回より径が大きくなりWood Mizer での製材は三人体制
機械・場所を提供して頂いている淡路工舎の藤田さん
今回も力仕事応援の岡田家具創造堂の岡田さん
新たにお願いした家具 zombi の石川さん / 感謝


材料/木材 DP- ④

7月はとにかく材料作り、必要量の倍 〜 それ以上の材積を集めて使えるもの、使うべきものを残して行くという方法を取る。
しかし製材を進めると、どの木も魅力的で今回使わなかった材も何かになるだろうという印象。今あるのは淡路島の近場から集まってきたものばかりです。



1m前後の短い木や変形の木はいつもお世話になっている製材所の機械では挽くのが危なく大量には作業できません、そこで今回はWood-Mizer(簡易製材機)を持っている淡路工舎さんの作業場をお借りしました。/ 感謝




力仕事応援の岡田家具創造堂の岡田さんありがとう/ 感謝


マケットと原寸模型 DP- ③

手のひらに乗るほどのマケット(※ 彫刻における小型模型のこと)でイメージしたものを、一気に原寸大へと拡大する。
幅や高さ、各部寸法の確認はもちろんだが、この量感の中に納めるべき壮大なコンセプトを想う。
どちらの模型にもとらわれ過ぎずに進めていきたい。





制作過程・工程 ②
Dプロジェクト(仮称)の制作過程、工程を可能な範囲で公開します。
ダンボールで作った型紙から、次は量感を確認する(ほぼ)原寸模型をポリスチレンフォームで作る。
木はまだ触らない、触れない。










制作過程・工程 ①
Dプロジェクト(仮称)の制作過程、工程を可能な範囲で公開します。
制作に緊張感を持たせる目的もありますが、勝手ながら不定期で
投稿が減ればそんな余裕も無いとご想像ください。
ダンボールでスケール感確認、原寸模型制作の前段階







自然への信頼と尊敬
この表題は、木工に取り組むとき私が常に大切に思うこと、それは木そのものが自然を象徴すると感じるから。
今すでに進行形ですが、今年の後半にかけて大きな造形物の制作に取り掛かります。ある(淡路島内の)空間のために依頼を受けて、構想をまとめたのが写真(1/20 模型)のようなモニュメント、これが20倍の大きさになる事や途中で良いアイデアが湧けば柔軟に取り入れるはずなので、完成品は製作者本人もまだ細部を説明することはできません。木は身近な自然で育ったものを出来るだけ集めました、そしてここが進行形ですが、量に不安があるのでまだまだ木は粘り強く集めます。近年取り組んでいるチカバノゾウキやJINO的な発想は欠かせないのです。依頼を頂いた空間が必要とするものと、私が長年木工に取り組み感じ、表現したいと思っている事が近いと思えることが嬉しく、力が入ります。制作実務にかかればその力を、この造形物が将来発散し続けるエネルギーとして注入しなければならないと思うのです。
海・山・風
自然への信頼と尊敬の中から
物作りは始まる
自然に寄り添い その中に溶け込み
日々 中庸の精神で
木に向かう
(atelier KIKA ホームページ・TOPより)
広い意味で風穴を開けられればと


各工程における協力者を募っています。
すでに声を掛けた方、まだの方もよろしくお願いいたします。
2023年 始動
あけましておめでとうございます。
昨年末、家族に続けて流行りのウイルス陽性反応が出てしまい、今年のお正月は恒例の神戸〜静岡への帰省は断念、淡路島で過ごす事となりました。それぞれ大事に至らず回復したので大学生の長男はこちらに戻り、親、親戚に会う機会こそ逃してしまいましたが、家族4人でゆっくり話す時間も持てた静かで穏やかな年の初めとなりました。
工房入りは既に3日から、昨年内に予定していて出来なかった制作に取り掛かったり、次の計画の準備を始めたりで1月ももう1週間が経過してしまいました。
遅い挨拶になりましたが、
本年も変わらずよろしくお願い申しあげます。
また皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
アトリエKIKA 北島庸行

今年も皆様ありがとうございました

2022年も大晦日となりました。今年も相変わらず最後まで慌ただしい日々ですが、それでも何とか一区切りをつけようとするのがこの日です。
何か特別な事をする訳でもありませんが、気持ちの整理と次へのモチベーションを高める事、そんなところです。
今年中にと予定した制作も一つ残してしまいましたが、来年、次に向けての準備も進めています。
ある計画の為に大きな木、それも又淡路島で育った木を集めていると知人に向けて発信していたところ、順次伐採されているユーカリの木を多く譲って頂く事になりました。
材になると通常日本で流通している木材とは随分木味も性質も違いそうですが、何事もトライ、縁があった木に向かってみようと思います。
立木から交渉成立の木は知人に依頼して伐採して頂きました。(辻くんありがとう!)また昨日は、新年早々運び出す手立ての打ち合わせもして来ました。
人に依頼して進むところはありがたい、しかし年明け早々から計画の本質のところに頭を悩ませそうです・・。
冷静に、視野を広く、進めて行きたいものです。自分に言い聞かせています・・。
さて、あまり来年のことを言うと鬼が笑う、かもしれません。
今年も又新たに多くの方々との出会いがあり、いつもの顔ぶれとも有意義な時間を過ごすことができ、感謝の今日です。
皆様、今年も一年ありがとうございました。
良い新年をお迎えください!
ユーカリの木は細かく分類すると何百種類にも別れるそうです。 この木(上の写真)はシぺロパーカーという種類で、捻れて育ちがちなユーカリの中では比較的真っ直ぐ育っています。

こちらは又別な場所、多くの木が今伐採されています。
何の為に?
淡路島に居るコアラの飼育の為に葉っぱを採取する用に育てられた木々ですが、大木になると地上からは新しく芽吹く柔らかい葉っぱが採取できません。
なので一度伐採して、新たなひこばえから又木を育て、柔らかい葉っぱを採取するのだそうです。



飼育員の方が、ちょうど葉を採取に来ていました。飼育されているコアラは口が肥えて、この抱えている枝の葉のほんの一部くらいしか食しないそうです。(下の写真の黄緑色の葉くらいだとか)
木の伐採はコアラの都合、ということかな、。
しかし淡路島のコアラの一頭「みどり」は今年11月に亡くなったもののギネス世界記録を更新した25歳の世界最高齢まで生きたのだから、そのわがままも飼育員さん達は許しているのでしょう、。


今年の〆に

年内最後の納品は、南あわじ市、丸山漁港近くの温泉・料理宿 南海荘さんへ。
昨年、地元南あわじ市産の山桜で壁面装飾「ふたつの扉」を掛けさせて頂いた先山の部屋に長椅子とスツールを届けてきました。
宿主の竹中さんからは各部屋で使う家具を出来るだけ地元淡路島の素材で作りたいのです、と数年前から聞いていました。そしてようやく昨年、山桜の壁飾りができました。
ただ家具用材まではなかなか量がまとまらず、アイデアもなかなかまとまらず、制作までに間延びの期間がありましたが、今年中にはと決めたところに、以前から管理に関わっていた小楢材を私が引き受ける事になり、伐採の頃から目にしていた木で今回の長椅子を作る運びとなりました。部屋の大きな窓から、日々移ろう絶景をくつろぎながら眺めるシェーズロング(寝椅子、長椅子)を想い制作しました。
また同じ部屋の畳の上には、お客様から要望があると言う低座のスツールを桧材で制作しました。籐編みの座は柔らかく座れます。
小楢、桧、どちらも地元南あわじ市で育った木です。それが家具となり、またこの土地で使っていただける事は嬉しいかぎりです。
依頼者も制作者も材料の事にまで想いを馳せ、こだわり願った結果でしょうか。(ですね、竹中さん!)





桧のスツール・淡路島ですくすくと育った桧材でフレームを作りました。綺麗な伸びやかな木目です。


ヘッドボード上の壁には「ふたつの扉」(南あわじ産山桜材)・ 良い旅への入り口です。

いよいよ先山の部屋へ長椅子搬入! 小楢は重いです・・
この部屋でこれから使われる様子は宿主、竹中さんのブログ淡路島の風でぜひ追跡してみてください。素敵な写真が既にアップされています。

大きな窓の外には最高の海の景色! 朝も昼も時間帯によってそれぞれの絶景が望めますが、何と言っても夕陽が素晴らしい、この写真は冬の夕陽ですね。
南海荘、宿の売りはやはり地元の海の幸を惜しみなく使った料理です、是非お出かけください!

JINO展2022 – Into FOREST のご案内
11月18日(金曜日)から企画展、Into FOREST が開催されます。
ちょっと森の中へ、いかがですか?
2回目となるJINO展、今回は木の制作者だけではなく、多彩なメンバーが各自の活動やその表現を持ち寄っての企画展です。
一本の木の年輪から広がる研究発表や森の木々の香りを活かした食事の会など、またワークショップも含めてさまざまです。
気になるイベント日を見つけて是非お出かけください。
※ JINO project 参加メンバーではありますが残念ながら、atelierKIKA 北島は今回の企画展への出展はございません。在廊日のお問い合わせなど早々に頂きありがとうございます。
私はと言えば、地域の自然、森、木、との関わりは変わらず少しづつ続けており、木の制作者の目線で、またその枠を超えたところにも目を向けて行きたいと思うところです。
現行の仕事では、まさに淡路島で育った、桧、小楢を材料に制作を進めています。長らくお客様から淡路島、この地域で育った木で家具を作れないかと希望を聞いていた物が一つ実現しそうです。機会があれば皆さんにも使ってもらう事が可能なところ?に納まる予定ですので無事納まりましたらこちらのページからも案内させて頂きます。
JINO展2022 の日程、企画詳細については Instagram @jino_awajishima でご確認ください。


とても上品な桧と、ワイルドな小楢、共に南あわじ市育ちで出来上がる家具も南あわじ市の某所に届けます。















