阪神間を拠点に活動をする五人の建築設計士が立ち上げた
『くらしのすまい』=暮住(くらすま)の相談室・ギャラリーが兵庫県尼崎市の「つかしん」で始動しはじめたので昨日はそのオープンセレモニーに参加して来ました。以前から知合いであったその中の一人の設計士(庄司洋建築設計事務所)から一、二年に渡りこの活動の話は聞いており、時折少しずつやり取りを繰り返す中でその主旨を理解しアトリエKIKAはその
賛同協力メンバーとして参加しています。「今後どのような活動をするのでしょうか?」、「・・・・」、五人が集まった主旨はHPでも明記されている通りですが、実際の活動としては一つずつ具体例を積み重ねて行く中で良い方法を選択しながら「暮住」のかたちを作り上げて行く、という事になりそうです。個人または一事務所だけでは実現しにくい事が複数人数で知恵を出し合う事で形になる、また家づくり、物づくり、の現場を知ってもらう為の発信力も孤軍奮闘するだけよりも遥かに増すはずです。庄司氏とのやり取りの中で話した一つに、どんな物が出来上がるかその結果はもちろん大切ですが、それが出来上がるプロセスに興味がある。どんな人が、どんな思いで、どう考え、どんな風に、どうやって作っているか、そこを知っていると人は自ずとその家や物に愛情を持てるし、結果それが長く使われる事につながる、と。そうした活動の姿勢がうまく表現出来れば良い結果、良い実例が生み出せるのではないかと思います。
前回このページで紹介したTABLE1600・1800同様、今回紹介するものも一定のデザインで繰り返し作っているのでKIKAの定番と言ってもよいテーブルです。ただしこのテーブルの場合は材種、大きさ、天板の外周形状、ハギ枚数や厚み、脚の太さ等々は固定せずその時の依頼に合った一点を作る事を心掛けています。ですから脚を組む構造や全体の印象は変わらないものの、今まで各お宅に納めたもの何れもが結果として同じ寸法のものがありません。脚の太さや縦横の比率は一発勝負で線を決め削ってしまうのはやはり怖いので、3枚目の写真の様に毎回(同じようだけれど)違う原寸図を描いて確認してから制作に掛ります。今回の依頼は食卓として使うけれど、またそこで木版画も彫り刷る、パン作りもする、天板は作業台のように厚めがいい、またH寸法も高めという事が条件としてあったので在庫の中から45mm厚のブラックチェリー材を選び天板は2枚ハギにし、脚は太めで高く線を引き直し制作したものです。工房家具というカテゴリーが有るならこういう事が可能な事も一つの特徴になるのかも知れません。
L.1500×W.935×H.750

「小股の切れ上がった・・」と言うのは脚がすらりと長く、又きりりとしていて小粋な女性を形容するときに主に使われるようですが、ずいぶん以前の雑誌にマツダのコスモスポーツ(1967〜’72/帰ってきたウルトラマンでMATが乗っていた車ですね、ある年代以上の人にしか分からないかも知れませんが。)について「小股の切れ上がったスタイルの車」と言うような文章が載っていました、何処が?とも言えなくないですが、私はなるほど分かる気がするいい表現だと思った記憶があります。スマートに絞り込んだフォルムは直線、曲線の配分が絶妙でまさに粋な車でしたから。この表現は物を擬人化してその姿をある雰囲気をもった格好良さをもつものとして言い現す事ができるのでしょう。さてテーブルや椅子もまた人や車と同じように脚をもっているのだから、小股の切れ上がった・・と言う立ち姿を目指してみてもいいのかもしれないと(頭の片隅に)思い設計図を描き、制作をしているのが写真のテーブルです。今回は1600モデル、脚部の寸法は1800モデルと共用なので天板の長さ−200、幅−50となり脚がより上の方まで見えます。



写真のテーブルは納品先が決まった物ですので展示はしていませんがご希望の方には見て頂く事ができます。(2月初旬まで)
TABLE 1600(受注制作)
ナラ材/1600×850×700(720)
¥280,000(税別)
2014年は例年より一日早く1月4日から始動しています。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
今年一年テーマにしたのは『削』。鉋を使って上手く削りたい、意のままに削りたい、綺麗に削りたい、昨年から今年の初めに掛けて正にそう思ったからで、迷うこと無く年頭に課題として掲げたのです。木工制作者として削りの習得は今更ではありますが、又いつまでも探求するべき基本的技術なのだと考えるのです。木を造形する上でそこに重きを置かない方法も勿論有ります。それぞれの者の考えで家具や木工品を仕上げる方法は千差万別ですが、私が今イメージする木工は、頭の中に描いた物を刃物を持つ手が自由自在に動いて楽しく削り仕上げる様です。「楽しく」は誤解を生む言葉かも知れませんが、作り手がストレスの無い生き生きとした作業を進めている姿をイメージして下さい。そこから生まれる物は伸びやかで美しいはずです。又刃物で削り仕上げた物は文字通り切れが有りよどみも無いはず。2014年も『削』はまだまだ脇にやれる課題ではないですが、自分に足りない事、更に磨きを掛けたい事をテーマに持って前に進みたいと思います。今年も皆様本当にありがとうございました。良い年をお迎え下さい。
淡路島はオリーブの生育には適した気候の様で約10年前庭に植えた苗木は随分大きく背の高い木になりました。ところがオリーブの葉を好んで食べ、幹に穴を空けその中も食べるオリーブアナアキゾウムシという虫がいてこの大敵に幹を食われるとダメージが大きい場合、木は枯れてしまいます。庭にはかつて数本の木が有ったので実もたわわに生りましたがこのゾウムシに食われた木は枯れてしまい今オリーブの木は一番勢いのいい木が一本残るのみとなってしまいました。一本では実がならないことも残念です。枯れた幹、枝は決まった目的も無く数年軒下でじゃまに成りながらも放置していましたが、よく乾いた枝を削ってみるとなかなか良い色艶です。そこで今日は数本、今日は一本と夜な夜なナイフやスプーンを削ってみると枝なりの形に誘われる作業が快適でのめり込みます。枝の太さの範囲のもので、曲がっていればそれなりに、枝を使い切って無くなれば終わりです。@¥1,260〜/くるみオイル仕上


写真の収納棚と小テーブルは依頼者の使い道がはっきりしていてそこから寸法や形状が生まれてきた物です。形状(スタイル)は制作する私の癖が当然出てくるものですが、必然の条件も有って用途のはっきりした物は部屋に納まった時にしっくりときます。既にウォールナットのテーブルや椅子を使って頂いている部屋に追加しましたが昔から何れもがそこに置かれてあるように空間に馴染みました。


9月30日、季節は秋とは言え少し動けばまだ汗の出る気温でしたが、空には程々に気持ちのいい秋の雲が浮かび光を遮ったりまた覗かせたりと撮影日和の一日。今年制作した「大きな椅子」のプロモーション写真を知人達の協力で撮りました。制作コンセプトを明確に伝えられる印刷物にして改めてお見合いを申し込みます。
@TOTOシーウィンド淡路
奈良、吉野の杉専門材木店へ材を見に行きました。杉→家具(木工)と結びつけることは今まで正直ありませんでしたが、杉を材料として見るとキラリと光るものがあります。兵庫県の某工房から「杉・削る・プロジェクト」(仮称)のお誘いを受けて共同参画するべく何が出来るのか模索中です。それぞれの材には一長一短がもちろん有るので如何に長所を引出せるかです。

具体的なイメージを持とうと模型を作ったりしますが、表面的なスタイリングをするだけでは先には進みません、。 杉柾の表情は日本人好みで美しいと感じる。
「一人用のこれくらいの小さなお盆を、」と両手で大きさを示して依頼された盆を作りました。気持ちが途切れない程度の短時間で削り進めると仕上がりも良いようです。他方からもう一回り大きなものもリクエストがあるので次も深呼吸してから一気に仕上まで。
ウォールナット材 380×170(外寸法)

こちらの定番も在庫追加しました。
ウォールナット/黒檀 635×300
木のハンガー × 30本、同じ型で荒く木取りした後は一気に削って仕上げました。鉄線の加工も自前で、曲げて焼いてたたいて、木部同様それぞれ個性が少しずつ違います。 長年数台ずつ作っている木蝶番のハンガーラックも今回2台追加、ミナペルホネン各店で、また新作発表会場で素敵な服がかかっています。

近年制作したものの中で最小のサイズ、これはマリッジリングをオーダーした依頼者の二人のもとへ手渡される時のケースです。オリジナルの指輪を受注制作で作るのは
noniturn metal designの川口さん、「木」はまさに生きていることの象徴、なので木のケースに入れて思いを込めて作った指輪が旅立って欲しいとのこと。指輪がケースに収まっている期間はわずかだと思いますがその後も長く愛着を持って頂けたなら私も幸い。(※ 指輪は川口さん制作のものではありません)