もの作りは、言葉で伝えることではなく出来上がった物が全て、それが語ってくれるので多くを言葉で語るのは野暮と思う頃も確かにあった。しかし今すぐ形にならない事に関わり始めて、今思う事を伝えて広くに知ってもらい、共感する者と協力し合うことが必要と思う時、やはりそれは言葉で上手く伝えないといけない。
東京のギャラリーエークワッドで開催中の
「樹の一脚展〜人の営みと森の再生」展の講演会の収録が昨日ありパネラーとして参加してきました。(無観客で撮り後日ギャラリーの公式サイトから公開されます)地域材活用の現状、課題、展望、などなど今回の展示に沿って兵庫六甲山の取組み、埼玉三富地区の取組み、又その他の参考として私は淡路島での活動も少しお話しさせて頂きました。考え、思い、行動にしている更にその先はどのようなことに繋がるのか・・・普段何気ないときに大きくイメージする思いを上手く言葉にできれば良いのですが、こんな場に不慣れでは表面的な説明にしかならない事を今更ながら反省します。終えた事はさておき一つ思うのはこの様な取組みは各地域によって細かく状況が違い、それはその土地の成り立ち、地形から規模、そして直面する課題も違う。しかし私達の身近にある自然〜森〜樹にもう少し目を向けなければと言う思いから始まった動きである事は何処にも共通するのです。今は山に関わる人、木工制作者などその実務に関わる人達での話に留まりますが、今後は今まで全くそんな事を意識しなかった他の職種に関わる方々の知識や、また子供達の好奇心や年配の方々の知恵も借りながら進め進んで行くべき事なのだろうと私は思います。速度は急いで急がずと言うくらいが適度でしょうか、でも止まらず。
今後も ものを作りながら時々違った方法で伝えて行く事を心がけます。
大掛かりな機材に囲まれました。
今日は、先日取材を受けた「住まう」の新刊冊子が届きました。
ぼそぼそと話した事をうまく記事の文章にまとめて頂きました、後半には今思うことも少し書かれています。
住まう 2021 vol.74(大阪ガス株式会社 エナジーソリューション事業部 発行)
北海道から西は兵庫県の木工家31組(30工房)が椅子を持ち寄り東京で企画展を開催します。
地域材に目を向け、それを使って行く、それ以前にどの様な性質でどの様に扱えるのか試してみる、31組のそれぞれの視点で制作した椅子が一堂に並びます。
地域材とは、私の視点。
言うまでもなく、身近な山、森の樹が木材になったものです。私の場合なら兵庫県産の材くらいを地域材と言ってもいいかも知れません。しかし今は住んでいる地域のまさに日々目にしている樹が材料になる事に関心を持っています。淡路島に住み20年になりましたが、これは裏山の樹の成長も認識できる年月です。家との距離があった樹が屋根に被さる様になったので伐りました。その木味の力強さに惹かれスツールや器を作りました。そんな事をきっかけに地域の山、森、樹に目を向けると、少々里山の樹は過密になっていると感じます。データ数字で確認した事ではなく、先ずは感覚的なところから私はそれを捉えました。薪炭材の利用の場としての裏山から人々が離れる頃から、ちょっとした生活用具を作る材料としての樹々(また竹や他の植物も)とも人々は少しづつ距離を取ってしまったようです。地域の里山は今、もの作りの視点からは豊富に材料があると見受けられます。立派な家具が作れるとは言いません、しかし楽しみ、喜びながら、小さな感動を得ながらものを作れる材料に溢れていると思います。ただし過ぎたるは及ばざるが如しなので程良くなる量をわきまえ、長く地域材と付き合っていきたいと私は考えています。そして作った物はその用途からだけではなく、私たち制作者が樹々から得る小さな感動も同時に伝わり、人と自然の距離を少し近付けるのに役立つ事も願っています。
所変われば、また人が変われば状況や考え方も違うものです。一言で地域材と言ってもその扱いや取り組みは千差万別、今回の展示は椅子を観て頂くものですがその奥にある、それぞれの制作者の考えや視点にも着目して頂くとより深く椅子の森に入って頂けるのではないでしょうか。最後に、今回の実行委員会ではこの企画展は木工家がそれぞれの拠点の地域材に目を向けて取り組み始める『決意表明』の場であると位置付けています。
3月31日までのロングランです、状況をみながらではありますがぜひ会場にお運びください。
会場 /ギャラリーエークワッド(入場無料)東京都江東区新砂1-1-1竹中工務店東京本店1F
開館 /10:00~18:00 土曜・最終日17:00まで
休館日 /日・祝
いつもより年始の1ページ目が遅くなりましたが、既に始動して1週間が経ちました。
世の中の状況については何も書くつもりはありません、とにかく健康に気を付けて日々を過ごして行きたいと思います。年末の挨拶にも書いたように
『原点強化』をテーマに今の自分に出来ることを見つめ、見直し、木の仕事を精一杯進めて行きたいと思います。
そんな今年のテーマを思って振り返るのにちょうどいい写真が出てきました、1996年、神戸で地震の直撃を受けた翌年、勤めていた会社を辞めて岐阜・付知町の早川謙之輔氏にお世話になっている時の一枚です。当時32歳、木工を始めるにはどうしようもなく遅いがおまえの今までの経験を生かしながら進んでいけば良かろう、というような事を言って頂いた頃、自分は何を考えていた?物を作る仕事に携わりたいと美大のデザイン科に進んだ頃は何を考えていた?事を始める時純粋に考えていた事の確認は大事な気がします。その考えが自分にとって間違っていなかったと思えたらそこをもう一度強化して今後も進んで行くのみ。そして奥へ深みへ入って行ければ尚楽し、又その結果生み出すものが世の中の役に立ちますようにとも願います。
本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
2020年大晦日、午前中まで工房での作業をして午後からようやく大掃除を始めるも工房の内外や一年間に溜めこんだ木材の整理など、当然半日では片付くはずも無く、暗くなり始めてから窓ガラスを拭いて、ああ少し明るくなったと終了。
今日だけを切り取るといつもの年末と変わりが無いけれど、やはり今年は特別な一年だった。それは日本中、世界中全ての人にとってそうだったという特別な一年。自分の力ではそれをどうにかできるものでは無いと言うものに世界中の人が同時に対面した特別なこと。
そうすると自分に出来る事を坦々としよう、しなければいけないと言う思考に自然となったように思う。一年を軽く振り返ると今まで考えているだけで動けなかった事も少し踏み出してみる事ができた、それはまだ密度が無いにしても、遅い歩みでも継続していければいいと考えている。
さて来たる年もこの状況は急に良くなる事もないだろうから、やはり自分に出来る事を見極めて力強くよくやっていきたい、そこで最近意識している言葉は『原点強化』。自分の原点、木の仕事の原点、人の営みの原点、そんなところを見つけて、見直して、鍛え直すと良いのではないかと思っている。
人に会えない会いにくい一年でしたが、それでも良い出会いがあり、又いつもの顔とも対面し、またオンラインミーティングも慣れないながらも便利に使い、今年も皆様大変お世話になりありがとうございました。いつもと少し違う状況ではありますが良い新年をお迎えください。そして健康にお気をつけお過ごし下さい。
新たに取り込みたい材があっても小さな倉庫が足の踏み場も無い状態。
「5年着てなきゃもう着ないって、、」というテレビCMがあるように、10年以上眠らせていると板材もなかなか手を着けるきっかけが見つからない。そこで一点ずつ完成品を作ろうとするとまた進まないので使い道の目処を立てて出して行きたい。
今回は長方形のテーブルを作った残りの材。使い方次第で面白く味わい深い表情の丸テーブルの天板となりました。
オーダーの作業に戻る為、今のところ作業はここまでで保留です。
φ 1.200mm 厚み約36mm ウォールナット材(二枚ハギ、ブックマッチ)
現状渡し可(90.000円〜)脚付き完成品は程度によりご相談、材料費を削ってお出しできるものもあるのでお問い合わせ下さい。
ギリギリφ1.200を確保
これはオイルではなく水に濡らして仕上がった時の色味、表情を確認
入り皮を取り除いて離れた部分を千切りで繋ぐ
現状無塗装です
10月12日、18日、気候も良くなり快適なこの時期から山に入り植生調査を始めました。就労弱者の支援を目的とするNPO法人SODAが発起人となりそこから繋がる学者、大学教授、林業家、木工、そして若く頼もしい大学生達が集まりました。調査をするのは南あわじ市八木馬回(やぎうままわり)集落が獣害対策として緩衝帯整備の為に木の伐採を進める集落外周を囲む山。集落内での活動の中心になるのはここで農家を営む方々の代表2名の方ですが、話を聞く度にこの地域での農業を生業とする生活の長期的な維持を明快な目的として持っておられる事にメンバーは皆うなずき、集落側も調査研究〜伐採〜もの作り〜仕事作り、そしてその拡散は集落の将来に繋がると感じて頂けているように思います。下見を含めると山に入るのは今回で3回目、皆さんこころなしか足取りも顔つきも生き生きとしてきたように感じます。
次の季節、次の段階に実際山の木を伐採して木材としての準備を進める時にその重労働に顔は青ざめることは簡単に想像できますが、どの段階もやはり生き生きと皆が動ける方法を考える事が継続のカギかと思います。先ずは3年計画、その後も坦々と歩めるように多彩な顔ぶれが知恵を絞らなくてはいけません。
成相寺の「天然記念物・イブキの樹」の下に集まる。
吉備国際大学 農学部の学生さん達の協力で計測作業ははかどりました!
10m × 10m(1アール) 内の木の計測(胸高径と樹高)を6箇所とり、伐採計画地内の植生を把握する。
それを資源と捉えると植生調査 = 資源量調査。
立木を見ての樹種同定は相変わらず難しいが、少しづつ⤴︎。
樹の話になると最近話題に出るのは「ナラ枯れ」。淡路島は明石海峡を渡って入り現在は南あわじでも多数確認出来る。
コナラ、カシ類に入る、「カシノナガキクイムシ」が開けた穴を確認できる木(ここではコナラ)は思いの外多い。少なくとも入った木の2割くらいは枯れるそうだ。
「鹿は芸術家」という見方はどうだろうか。この山では日中でも鹿を確認できる。
地面から30~40センチ立ち上がった幼木、山歩きの途中足元に生える数ある植物の中からこの葉を見つけて「榎/エノキ」と同定出来るまでにはまだまだ目を慣らす必要がありそうだ。
JINOのメンバーで美術家のNさんの発案で月に一度、森づくりと題し山を歩く、様々な職種の人が集まるのでそれぞれの視点がありこの活動の着地点は動きながら探るという事になるが、草木の名前や性質、小さな生物の生態を少しづつでも学びながら自然に歩み寄り近ずくことは誰にとっても良いのだろうと思える。
山には当然多くの生物がひしめき合って共存したり生存競争したりしながら生きているはずだが、日々、季節ごと、毎年、或いは隔年、繰り返す営みは坦々としながらも知的だ、そんな切り口で書き出すと長くなりそうなので、山に入るとそう感じるという事だけにして、
毎回樹々や草花の名前を教えて頂き、小さな生物の生態を分かりやすく説明してくださるI氏から得る知識、時には実用的な豆知識もしっかり記憶して又次に自分の周辺に伝えていくだけでもこれは森づくりだと言える。些細なことを知るだけでもそこへの関心は高まり、沢山の入り口がある事に気付くのです。
榎の幼木
榎の葉。榎は淡路島ではよく見かける木、比較的大きくなる木だ
アラカシの葉
小マユミ
瀬戸内マイマイ(アワジマイマイ)
池に群生するヒメガマ
スツールの座編みに使えないかとヒメガマの葉を採取、遊びの範疇以上に考えていること
ぬめりを水洗いしてしばらく乾かす、楽しみながら実用品も
昨日9月22日をもって座る・くらべる一脚展+(プラス)2020は会期を終了しました。
今年はコロナ禍での開催となり展覧会準備期間も会期中も出店者一同心配事は多くありましたが、2週間の会期を盛況のうちに終えることができました。多くのご来場有難うございました。
『風の椅子』・今年の出品作は椅子の形として見える姿や機能的な座り心地と使い易さなどを追求して作ったと言うよりも、皆さまの心(感性)に届くもの作りと捉えて望んだつもりでしたが思いの外その姿や座り心地がいいと言う評価も会場で多く頂きました。椅子なのでそれは勿論嬉しい評価です。そしてこれも結果を求めませんが、多くの方々に何かそれぞれの感性で感じて頂けた事があれば幸いです。
先日投稿したYouTubeでの制作風景動画も引き続きご覧ください。
そして当面はアトリエKIKAに『風の椅子』はありますので実物に触れに淡路島へお越しください。良いところに置かれる、使われる、嫁ぎ先を募集しています。
※ 価格についてはお問い合わせください、制作に掛けた労力、時間などから設定価格はありますが良き理解者のもとに旅立つことを望みますので相談の上と考えております。
樹が育った「動の時間」
椅子になった「静の時間」
その途中の束の間
その「束の間」を記録した映像です。
「風の椅子」は一脚展+2020(新神戸・竹中大工道具館)で9月22日まで展示中。
会期は22日(火曜日)まで、是非会場へお越しください。
21日、22日は在廊しています。
制作風景:約10分/ + atelier KIKA 紹介:約5分 長いですが秋の夜長に。
※ できれば大きな画面で音の出せる環境でご覧ください。
竹中大工道具館での一脚展は中盤に差し掛かりました。開館時間は少し変則となっているのでご案内します。
<午前> 9:30 〜 12:00(入館は11:30まで)
<午後>13:00〜16:00(入管は15:30まで)
※ 昼の1時間、館内の消毒の為の閉館時間がありますのでご注意ください。
※ また一脚展会場が一時的に来館者が増えて過密になった場合、少し入場をお待ち頂く場合があります。コロナ感染予防対策を万全にとの考えからですので何卒ご了承ください。
会場に設置したそれぞれ制作者の映像は好評のようです、私の椅子制作中を撮った映像は出店者の中で一番長いそうですが・・お時間許す限りゆっくりとご覧ください。もちろん実物の椅子も例年になく多く並んでいますのでそれぞれを味わっていただければ幸いです。
明日13日(日曜日)は在廊しています。
9月8日(火曜日)から神戸、竹中大工道具館にて
第十回 座る・くらべる一脚展+(プラス)2020 ~木が椅子になる〜 が開催されます。
今年の出展者は11名、それぞれの〜木が椅子になる〜を映像で見て頂ける展示を試みています。また十回目を記念して過去九回の出展作の中から各年2脚、18脚も会場に並びます。会期は22日(火曜日・祝)まで。
皆様のお越しを心よりお待ちしています。
私は13日(日曜日)、21日、22日(月、火曜日)に在廊しています。
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